不思議の国のアリスinダーズンローズ
「…さて、と。」
これはフューネラルブーケがリヴーに向かうちょっと前のダーズンローズ達。
スフマートの手により絵の中に閉じ込められていたダーズンローズは療養生活を終えた後 全員ジャックに呼び出され例の薔薇庭園に集められました。
まだ魔力の回復が追い付いておらず所々白くなってしまったジャックは珈琲を嗜みながら、いつもの笑顔はどこへやら。珍しく怪訝な顔をしています。
「…君たちはいつになっても僕に苦労をかけるよね!まぁ、状況が状況だから致し方ないけどさ!」
…20年経ってもジャックはジャック、何をされるのかと怯えているとジャックはダーズンローズの目の前にある物を差し出しました。
「だからさ、これに出たら許してあげるよ!勿論、僕"ら"も一緒に出演してあげるからさ。…良いよね?ね?」
「えっ?」
「あら♡?」
チラシには"不思議の国のアリス劇場"、どうやら近くの劇場で不思議の国のアリスの劇がある…予定でしたがどうやら劇に出演する劇団員が全員、食中毒でやられてしまったようで急遽ジャックに劇団員を集めるように依頼をしてきた、との事でした。
劇に必要な人数は15人、ダーズンローズと大魔法使い様を合わせて丁度良い人数になります。
勿論ダーズンローズに拒否権は勿論ありません、絵から出した代わりにこの依頼を引き受けてくれ、という事ですから。
こうして、ダーズンローズと大魔法使い様は不思議の国のアリスの劇をやる事になったのでした。
少ない時間で何とか台本を頭に叩き込み、劇をやり遂げたダーズンローズと大魔法使い様達。
幸いキャンセル分のチケットの分も、話題のおかげか瞬く間に完売御礼となり大盛況のまま幕を閉じた。
食中毒にやられてしまっていた劇団員達もすっかり元気を取り戻し、来週からまた新しい劇の練習に励むとの事。
戻ってそうそうこんな事をやるなんて、と頭を抱えるダーズンローズ達の横で、ジャックは満足そうに劇の写真を眺めています。
「いやぁ、それにしても皆で劇だなんて、なかなか楽しかったよね!何だか20年前を思い出すよ、懐かしい気持ちになったね。」
…まぁ、良いか。
そう思う他、ないのでした。
不思議の国のアリスinダーズンローズ 終